「春分の日」がついこの間に感じられるのに、季節はもう夏のはじまりになりました。
明日5月1日はベルテーン。春分と夏至のちょうど中間地点になります。
魔女たちにとっては1年の折り返し地点であり、サウィン(ハロウィン)からちょうど半年経ったことになります。
海外Wikiによるとベルテーンは最古のアイルランド文学で言及されており、牛の放牧が始まる重要な日でした。
牛や人、作物を守るために特別な篝火が焚かれ、その火と煙には保護の力があるとされました。
牛や家を花で飾り、盛大な祝宴が行われました。
この風習は今でも現代の魔女たちの間に引き継がれています。
一方で前夜にあたる4月30日の夜は「ヴァルプルギスの夜」という魔女たちの火祭りとしても知られています。
ヴァルプルギスという名称は、聖ヴァルプルギスの夜の省略形で、8世紀のフランク王国の女子修道院長の名に由来し、祝いは4月30日の夜から5月1日に続く。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%97%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%A4%9C
ヴァルプルギスとは疫病を退散させた聖女の名前であり、つまり悪魔や魔女と戦った人々にちなんだ祭りです。
それがケルトの古くからの祭りであるベルテーンと結びつき、いつの間にか魔女にとっても重要なお祭りの日となりました。
ドイツではブロッケン山に魔女たちが集い、篝火を焚き、盛大な酒宴を催すのだとか。
治療薬や消毒薬がなかった時代の人々にとって、人の命だけでなく大切な家畜や作物を襲う疫病というのは、どれほどの脅威であったでしょうか。
日本でもこの時期に野焼きや山焼きが行われる風習がありますが、これも要するに疫病予防や消毒・浄化の意味があったと考えられます。
火・地・風・水の4元素の中で唯一、人間と結びつけられる火。
火はいちばん天に近い(高い所にある)元素でもあるため、神聖な力とも結びつきます。
ベルテーンはケルトの最古の神ベレヌス(Belenus)にも由来しますが、ベレヌスは火と光、そして癒しの神でもあります。
火というのは扱いが難しいものではありますが、それだけに人間の生活にとても重要なはたらきをもたらしてくれるすごいパワーを持っているのです。
人類が火を扱うようになってどのくらい経つのでしょうか。
昨今では火より電気が主流になっており、炎を見る機会というのはむしろ減っているのではないでしょうか。
現代人は火をきちんと扱えているのだろうか?
ふとそんな疑問が浮かびます。
疫病に対してもそうです。
治療薬や消毒薬が簡単に手に入る現代人にとっては、疫病に対する不安感というのはなくなったのかと思いきや、結局のところいつの時代も恐ろしいものであることに変わりはありません。
つい先ごろまで疫病が世界的にはびこって世界の動きがとまった出来事がありましたが、あの大流行への対策の検証はきちんと行われたのでしょうか。
占星術はもともと科学でした。古の時代は科学者が行っていたのです。
そしてその科学者たちは国の政治とも深く関わっていました。
つまり、当時の為政者たちは政治に科学的視点を取り入れていたということです。
現代はどうでしょうか?
政治の中枢に科学者はいるのでしょうか。
科学的視点から人々のために政治を行おうという政治家はいったいどれくらいこの国にいるのだろうか。
ふとそんな疑問が浮かびます。
科学にしても火にしても、あるのが当たり前になったがゆえに逆にないがしろにされてはいないだろうか。
そんなことを思ったヴァルプルギスの夜でした。
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